定期的に日本の住宅の歴史や現代の移り変わりについて載せていきたいと思います。
1回目は、床の間についてです。
~床の間の歴史~
床は、もともと寝床や台を意味する言葉だったと言います。
鎌倉、室町時代に僧侶は押板や足つきの台に花瓶や香炉を並べ、壁に仏画を掛けて拝礼をしていました。
また、平安時代の神殿造りには、貴人の座所として一段高く造られた畳敷の床がありました。
やがて書院造りの発達とともに、安土桃山時代には、この二つが融合して床の間となり、身分や秩序の象徴と
して客間に床の間、床脇棚、付書院を設ける形式が確立しました。
~床の間の現代~
合理性を追求する現代住宅では床の間は無駄な空間と考えられるようになりました。
床脇に押入れを設けたり、地袋に空調機器を収納するなど簡略化された形が増えて床の間を設けない住宅も
多くみられます。
しかし、その空間こそが、心を落ち着かせる場として求められるようになっています。
板一枚を畳に置く(置き床)や飾り棚風の(吊り床)や自然光の入る障子に寄せて置いた花器の一輪の花で、
床の間の雰囲気を演出することができるのです。